
前回は、贈与の暦年課税と生前贈与加算についてお話しました。暦年課税の基礎控除が額(110万円)、税率を算出するための一般贈与財産用と特例贈与財産用の速算表の違いについて理解していますか?忘れた方は、おさらいです。
今回は、贈与税の特例について、頻出論点であるものをご紹介しましょう。
贈与税の配偶者控除
配偶者に住宅・土地などの居住用不動産(または、取得するための金額)の贈与があった場合に基礎控除(110万円)とは別に2,000万円まで贈与税がかからないという特例です。

つまり、合わせて2,110万円の控除ができるということです。

これには要件があります。
ポイント
- 婚姻期間が20年以上あること
- 居住用不動産(住む為の家)または、居住用不動産を取得するための金銭の贈与であること
- 贈与を受けた翌年3月15日までに居住を開始して、その後も引き続き住み続ける見込みがある
- 同じ配偶者の間は、一生に1回だけ使用できる
- 贈与額が0円になっても贈与税の申告書の提出が必要

これは確実に覚えましょう。
問題では、不動産分野の短期・長期譲渡所得の条件、譲渡した年の1月1日時点で5年超判断に絡めて、婚姻期間が1月1日時点で20年以上必要か?とひっかけで出題されます。
贈与税の配偶者控除は、1月1日時点は関係なく、あくまで20年以上あるかないかです。
譲渡所得の短期・長期条件と同じです。

相続税分野の配偶者の税額軽減は、婚姻期間(20年)はありません。
婚姻届出で配偶者になれば、すぐに使用できることも贈与税と違うので、違いを理解しておきましょう。
相続時精算課税制度
まずは、漢字の如く、相続時に税金を精算する贈与です。相続が開始するまでの2,500万円まで、贈与しても非課税(2,500万円を超えると超えた部分、一律20%で税金を算出する)になります。
相続が開始すると、今まで贈与された分と相続分を合算して相続税を計算するものです。
ポイント
- 贈与年の1月1日時点で、贈与者は満60歳以上、受贈者は満18歳の推定相続人
である子、又は孫(代襲相続人・養子でも良い) - 贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までに相続時精算課税制度選択届出書を提出する
- 贈与財産の合計2,500万円までは非課税(相続時、相続計算時に精算)
この時、2024年1月1日から年間贈与分の110万円を控除して計算する - 2,500万円超えた金額は、一律20%の税金がかかる
- 贈与財産の種類、回数、金額に制限はない。➡️あくまで2,500万円を超えるか超えないかで非課税か税金がかかるかの違い。
- 贈与者毎ごと、受贈者ごとに選択できる
父は、相続精算課税制度で、母からは暦年課税というふうに選択できるということ - 一択、相続時精算課税を選択した場合は、暦年課税にすることができない
- 相続時に課税価格として加算される金額は、贈与時の価格。

1級論点では、相続時精算課税制度を使用した、普通養子が養子を解消した場合、この相続時精算課税制度も解消されるかどうか問われることがあります。
➡️ 養子縁組を解消したとしても相続時精算課税制度は適用されます。
ポイント
- 贈与税の配偶者控除を理解しましょう。頻出論点です。
配偶者に住宅・土地などの居住用不動産(または、取得するための金額)の贈与があった場合に基礎控除(110万円)とは別に2,000万円まで贈与税がかからないという特例です。要件も確実に理解しておきましょう
- 相続時精算課税制度について理解しましょう。
相続が開始するまでの2,500万円まで、贈与しても非課税(2,500万円を超えると超えた部分、一律20%で税金を算出する)になります。